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特集 春を待つ三陸・宮古へ──
うれしい出会い、いろいろ

三陸の味、おいしいウニが染物に
世界初の技術を宮古から発信

アトリエぐらん
代表 田川宮子さん

 「本州最東端の町」としても知られる海の玄関口・宮古市。 ここで、廃棄物として処理されていたウニの殻で、染色技術を確立したのが、「アトリエぐらん」田川宮子さん。 ピンク、オレンジ、紫、ブルーグレーの透き通るような色合いのウニ染めの始まりは、 田川さんの懐かしい思い出からでした。

田川宮子さん

厄介者の殻が宮古の宝に

 陸中海岸国立公園のほぼ中央に位置した宮古市は、豊富な水産資源に恵まれた漁業が活発な町。 昔からウニの収穫でも活気に溢れ、初夏の口開けの頃には新鮮なウニが堪能できます。

 宮古市でウニの殻を使った染色を行う「アトリエぐらん」の田川宮子さんは、 13年ほど前から本格的にウニ染めの販売を始めました。今まで厄介者だったウニの殻を、 見事に再利用した田川さんの技術は世界初。なんともいえない透明感のある色合いに、 「とてもウニで染めたとは思えないでしょう」と、笑う田川さん。

 20代の頃から草木染を趣味としていた田川さんが、ウニ染めを思いついたのは、中学時代の記憶からでした。 当時は漁業関係者の子どもたちが数多く通っていたという中学校に転校した田川さん。 ウニの口開けの頃は家族みんなで作業するのがあたりまえだったようで、口開けが始まるとクラスのほとんどがいなくなり、 午後になってから手を赤く染めた友達が誇らしげに登校する姿をうらやましく見ていたそうです。

「ウニで赤く染まったクラスメイトの手がすごいキレイでね(笑)。 草木染で面白い材料を探していた時に、それをふと思い出して、ウニで染めてみようと思ったの」。

試行錯誤を重ねて確立した技術

 ウニは雑食性のため、食べるものが個体によって異なります。 そのため、収穫時期や生息場所、鮮度に加え、食べたものによっても出る色が違ってくるのだそう。 昆布やワカメを常食しているウニは茜色に近い色が出ますが、稀に緑が出る殻も。 草木染めの技術を利用して、ある程度まで理想の色に近づけることは出来るようになったものの、 「染めてみないとどんな色になるのかわからない。そこがウニ染めの魅力」と、田川さんは力強く答えます。

 ウニ染めを完成させるまで、いちばん頭を悩ませたのが臭いの消し方。 始めた当時はウニの口開け時期にしか鮮度の良い殻が手に入らなかったので、 使える量も限られた上、時間が経つほどに増していく臭いに閉口したそうです。 ある日、昔の漁師は米のとぎ汁でまな板を洗ったという話を聞き、半信半疑で染料にとぎ汁を加えたところ、 臭いのほとんどが消えていて、先人の智恵に感心したそうです。 その後、試行錯誤を重ね消臭方法を確立。宮古漁協の協力も得て、大量の冷凍保存が可能になり、 一年中ウニ染めが楽しめるようになりました。

 近頃は草木染とウニ染めのコラボレーション「花しおさい染」という作品を多数制作中。 直接手に取ってから買っていただきたいと、ネット等での販売は一切しないのが田川さんのこだわりのひとつ。 というのも、ウニ染めは微妙な色の加減が魅力であり、それは手にとってみないと感じ取れない繊細なものだから。

 「三陸は四季を通じて見どころ満載の場所ですから、旅行のついでに寄っていただけるとうれしいですね。 ウニ染めの透明感も、浄土が浜の透明な海も、一緒に満喫してください」。

【アトリエぐらん】
■所在地/岩手県宮古市宮園6-19
■電話/0193-63-7848
宮古市の「シートピアなあど」、「浄土ヶ浜パークホテル」「宮古駅ジャスター」「グリーンピア田老」で購入可能。ウニ染めの体験は問い合わせを。

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